第7章 猛毒
カカシは黙ったまま、私から少し距離を置いた。
「…………!………………」
嗚咽して、むせび泣く私の声だけが浴室内に響く。元々開けっ放しだったドアに、カカシの手をかけた音が、耳に入った。
出て行ってくれ、と叫んだ割には、本当に出て行かれて 傷つく自分がいて、叫ばずに素直に、お願いすれば良かったなぁ……なんてバカな事を考えていた。
自分に降りかかる媚薬の効果がいつ、切れるのか分からない。普通ならとっくに切れているはずだ。
ずっと息荒く、卑猥な感情が蠢く。
どうしてこんなことになったのかな。
浴室のタイルを見ていた視線を、何気なく上へ戻した。
私が見つめた光景に、唖然としてしまい、思わず動きを止めていた。
なぜなら、カカシが服を次々と脱ぎ捨てながら、籠の中へ入れていく。ドアの音は、脱衣所に置いた洗濯籠を取ったせいだった。
「なに、している、の?」
顔が涙で、ぐちゃぐちゃに
なりながら聞いてみた。
きっと彼は、わたしが今一番欲しい言葉を、言ってくれると 何となく思ったから。
「抱くに決まってんでしょ? 気を失うぐらい? それぐらいオレは余裕だって。見縊るなよ」
あっけらかんと言う。
「……っ!!……余裕? 何言って……」
少し笑みが出ていた。
ぼろぼろに泣いた頬を
カカシは、指で拭きながら、
真面目な顔をする。
「抱き潰すからな、花奏。 お前こそ覚悟しろよ? 当分、身体は役に立たないようになると思うけど……悪い、許してくれ」
「……っ……カカシ……」
全てを脱ぎ捨てたカカシは
シャワー浴びて私にもかけ始めた。