第6章 アジトへ
空を切るように、大男が喋る。
「……馬鹿め、死ね……」
「カカシ先輩!!上だ!危ない!!」
テンゾウが素早く印を結ぶ。
「みなさん!中へ!」
木遁の術‼︎
ダダダダダダダダダダ……
木で出来た牢獄のような中に入った私達に、千本針が次々と降り注ぐ。
「絶対針に当たるな!毒が付いてるぞ!!」
私を抱きしめたまま
カカシが叫ぶ。
「無茶ですよ、先輩!数量が信じられない!何ですか、この攻撃!!」
テンゾウは、針が四方八方から飛んでくるのを、木遁で避けながら叫ぶ。
「アイツ、いません!!さっきまでいたはずなのに!!」
「クソ……さっさと殺しとけば良かった……」
木の隙間から入る千本針を刀やクナイで防御したが、全方向から矢継ぎ早に飛んでくる攻撃は止まらない。
「花奏!大丈夫か!?」
攻撃を片手で避けながら、カカシが叫ぶ。私がいるから片方の手しか使えない。
「…………だ、だいじょ……うぶ」
朦朧とする意識の中で、
不思議だった。
この攻撃は、私達がやってくると分かっていなければ、出来ない攻撃。
つまり最初から
仕組まれた罠……?
だけど、これをやろうとすれば己の仲間を犠牲にしてしまう。
あの大男は、初めから、仲間だと思っていなかった……?