第4章 15分
カカシはほんの少し目を細めて、話を切り上げる。
「ここに残る者はヤナギの指示に従って事後処理を行ってくれ。ヤナギ、頼んだぞ」
「ああ、わかった」
私達はカカシに呼ばれ、討伐へと部屋を出た。ハギは、私の方に目を向けて小さく「すみません」と謝ってきたから、私も配慮が足りていなかった事を謝った。
部屋を出た時、私は、クナイの補充のために、ロッカーへ寄りたかったから、皆には先に向かってもらうようにお願いをして、女子ロッカーに入った。
準備が完了して、出発しようとした時、
「花奏ちゃん」
と出口に向かう廊下で、声をかけられ、呼び止められ、振り返る。
見たらヤナギが立っていた。
「前にあげたもの、今は持っているかい?」と聞く。
「ヤナギがくれた苦無だよね。持ってるよ。特製だっけ?」
誕生日プレゼントにもらった10センチもない小型苦無を見せた。カバーが付いて、いつでもどこでも持ち運べるヤナギオリジナル苦無だ。
「花奏ちゃんがピンチな時に、必ず手助けになるよ、きっと。だからね、いつも肌身離さず、持ち歩いて欲しいんだ」
「うん、分かった、ありがとう。護身用にもなるとか前に言ってたけど、暗部のくノ一は強いよ?私も8年働いてるし、そう易々とやられないよ」
「念には念を入れて欲しいからね」
とヤナギはにっこりと笑い、わたしのおデコをこつんと指で押す。
「あはは、了解、じゃあね!」
笑って、皆が待つ阿吽の門へ向かって走った。
背中越しにヤナギの声が、耳に聞こえてくる。
「仲間には絶対使うなよ!」
「あはは、分かってるよ、それぐらい!行ってきまーーす!」
そう言葉を出しながら、振り返って笑顔で手を振って足を進めた。