第4章 15分
「何故、花奏さんがメンバーに入っているのですか?部下だからって意味が分かりません。アタシだって、亡くなった2人の同期なんです。彼女達の無念を晴らしたいです。それに」
口籠るハギに、カカシは続けろ、と指示を出す。
「アパートが焼けたからと、カカシ隊長の家に住ませるなんて、狂気じみています。他里から来たからかもしれませんが、いくら何でも優遇し過ぎだと思います」
さらにハギは言葉を繋げる。
「三代目やカカシ隊長、皆さん、花奏さんに甘すぎではないですか?いくら何でもやり過ぎだとアタシは感じます」
そう言い切った後、こちらに目をやる。何も反論出来ない私は目を下にした。 黙って聞いていたカカシが、ハギを見て話を始める。
「確かにハギの言う通りだな。代わりにお前が一緒に向かっても、何ら問題は無い」
カカシは「だがな」と口調を強める。
「今夜、ハギは別の任務が入っている。それでも行くのか?確か他里へ潜入調査をする少し難しい任務だ。その辺は大丈夫か?」
「ーー問題ありません。アタシはやれます。同期の仇を討ちたいんです」
「じゃ、話を変えようか。怪我をした場合、もしくは疲労により任務を遂行出来ない場合、ハギは誰に仕事を変わってもらうんだ?空いている花奏にでも変わってもらうのか?」
真っ直ぐにハギを見つめるカカシ。
「徹夜明けだが、花奏は、そこまで疲労する任務では無かった。だからメンバーに入れたし、三代目も連れて行けと言われた。残った他の奴らは皆、今夜任務だ。適任は花奏しかいないんだよ」
「…………」ハギは、何も言い返すことが出来ずに、黙り込む。カカシの口調が、少し柔らかく変わる。
「ハギ、花奏は他里から来たから、身内もいない。多少そこは、三代目は気にかけておられるかもな。オレも小さい頃から知っている仲だからと、戸惑いはあったが了諾した。ヤナギも幼馴染だからと、気持ちは同じだろう」
カカシが「ハギ」と喋りながら足を運ぶ。
「家に帰れば、暖かい家族が、お前の帰りを待っている。 オレは、ハギの方が、百倍、いや、千倍羨ましいね」
カカシはハギの方へ近づき、頭をポンと撫でた。