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【NARUTO】柔らかな月を見上げて

第19章 記憶


夢中になってキスをしていた。このまま最後までしてしまうほど情熱的に。


熱い吐息を吐いたのはカカシだ。
困ったように目を細めた。


「……あとから続きしよ。オレがダメだ。止まらなくなる」




もう一度吐きだした熱い息。

カカシの薄めた目がぶつかる。熱を秘めた瞳で見つめらて、とっさに我に返った。



「っ!! あ、ご、ごめん…」

「…いや、オレは嬉しいんだけどね」

苦笑いのカカシから
身体を引き離した。

じわりと
顔が赤くなった。



「……カカシ」

身体に隙間ができた途端、
また寂しくなる。

カカシのあたたかくて
大きな指を掴んだ。

ふれたい。
近くにいきたくなる。不思議。



「カカシ、あとで
いっぱいぎゅっとしてくれる?」


「ふ、いいよ」

小さく笑ったカカシ。



いつもなら
恥ずかしいと思うのに
今日はちがう。


私は、
はっきりと彼を求めている。





「じゃ、行くか」
「うん」


カカシがドアノブに手を伸ばしたとき、となりにいるから、すぐにわかった。


大きな影が私の顔にできる。カカシの落ち着く香りが近づき、柔らかな銀髪が頬に当たった。


「もう1回」

くちゅっと甘い音が鳴る。唇が甘く重なる。カカシとの優しいキスを受け入れていた。

「ありがと」
「う、うん…」

唇を離されたあとも、ぼうっとしてしまう。しっかりしろって思うのに、キスの余韻がまだ残ってる。


「かーお」

口布を戻したカカシが
私の頭をぐしゃぐしゃと撫でる。


「顔戻しなよ、ほら」

「わ、わかってるよ」


手を軽く払った私に
耳もとでカカシは甘い声で呟いた。


「帰ったら覚えときなよ、花奏」


「うん…うん?」


頷こうとしたのに止めた。
なんの話だ。





「ほら行くよ」

狐面をつけて玄関のドアを開ける。私も兎面を顔につけた。


冷たい風が強く吹いている。

夜空で浮かぶ大きな満月に
薄い雲が漂っていた。


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