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【NARUTO】柔らかな月を見上げて

第19章 記憶


任服に着替えて兎面を頭につけ、玄関で靴を履いていると、ドアが開いた。



「あ、ごめんね。急ごう」


外に出ようとしたら肩を掴まれ、そのまま、カカシの胸板に引き寄せられる。

バタンと
玄関扉の閉まる音が耳に届いた。

背中にカカシの手がふれて、もう片方の手が後頭部を覆う。髪にふれる手は大きくてあたたかい。


硬い胸元に私を抱きしめたカカシは
小さく息を吐いた。


「キス以外、なにもされていないんだな?」

私の背中にかかる力が強まる。ぎゅっと隙間なく埋められ、カカシの心臓の音が聞こえた。

「うん…なにもされてないよ」

「本当だな」

「うん本当だよ。…カカシ、行こう?」

「わかってる。1分だけ」


カカシは口を閉じた。

無音のなかで掛時計の針の
機械的に刻む音が小さく響く。

カカシの身体があたたかい。
湯たんぽみたい。私は安心して身を任せていた。



すると
突然降ってきたカカシの声。


「なあ、キスしてよ」

「えっ」

身体を少しだけ離したカカシは、口布を指で下ろす。私の顔に唇を近づける。切なげな瞳が私をとらえた。


「……お願いだから」


吐息が口に当たる。ふれるか触れないかで、寸止めするカカシの唇。心臓が跳ねた。

「い、いま?」
「今」

即答するカカシは真面目な表情で。

「冗談に決まってるでしょ」
と言わない。

私の瞳を見つめて
本気だと目が訴える。



「頼むからしてよ、元気ちょうだい」



カカシの声は懇願を含んだ。
私は思わず目を緩めてしまう。

「……うん、いいよ」
目を閉じて、ふんわりと薄い唇に合わせた。口もとのホクロがかわいい。

ちゅっと小さな音を立て、ほんの少し離した唇を私はまた重ねた。離れたくない。離したくない。と心が言うのだ。

「ん……」

手を伸ばして、カカシの腰に手を回して深いキスをねだった。彼も同じようにきつく抱きしめてくれる。




「花奏……」

「ん、やだ…まだ」

カカシが私から離れようとしたのに、
自分の口を緩めて、カカシの舌を舐めた。こんなに積極的に求める自分が不思議だった。


ただ、
もっとしたいと思ったの。



途端に激しく絡んだ舌は
お互いを愛撫するように重ねた。

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