• テキストサイズ

【NARUTO】柔らかな月を見上げて

第19章 記憶



カカシと私は、足早にアカデミーへ向かう。火影室の扉をノックした。

「入れ」と3代目の声。

ドアを開けて、お面を外した私たちは固まる。いるはずのない仲間が、そこにいるのだ。



「テンゾウ?」

ーーどうして?

「なんでお前がここにいるのよ」と同じように言ったカカシは怪訝な顔だ。


自分の指示に従っていれば、いまごろ暗部本部に向かい、イタチを暗部全員で追跡しているはずなのだ。

向かうはずのテンゾウが、猫面を外して、同じように火影室にいる。


顔をしかめるのも
無理はない。



「カカシ先輩、すみません。暗部本部に到着した際、根のヤツがいまして……火影室に行くように促されました」

「…根?」

カカシは、返答に困るテンゾウを見て
眉をひそめた。

「なぜ根が動いているんだ?」

「カカシ」と3代目は静止する。仕方なくとなりに並んだ。



3代目猿飛ヒルゼンは疲れたように
額に手をやった。

「揃ったようじゃな…」

表情は重い。
初めに花奏と名を呼んだ。


「身体が戻ったようじゃな。すまなかった。うむ、怪我をしとるの…問題ないな?」

「はい。3代目、私は大丈夫です。階段で転んだだけですし…」

額や頬についた絆創膏にふれた。イタチに手当てしてもらったモノ。

ふれると、ズキンと
心が痛んだ。



"階段"

"転んだ"

私の脳裏に映像が浮かぶ。

小さい私は、ひとりで泣きながら
真っ暗闇な、うちはの街を、走っていた。


うちはの街を……。



突然頭に降りてきた映像は
滝のように流れる。
記憶が次々と頭にはいる。




"記憶は戻らないほうがいい"
イタチは言った。



その意味が、ようやく
わかったのかもしれない。



もう1つの映像が浮かんだ。


親友の遺影を見て
嗚咽するイタチの声。

ポタポタと、
あたたかい涙が私の頬に当たる。



"花奏さん…"



イタチの優しい声。




"どうか助けてやってほしい"






私の頭をすくうように優しくなでた
イタチは何かを話した。


それは、とても

大切なことばだった気がする。



/ 561ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp