第19章 記憶
カカシは深く息を吐き、
さっきよりも落ち着いた声で言った。
「イタチ、説明してもらおうか。なにをした? なにをしてきた? 今、お前はなにを花奏にしようとしたんだ?」
「…カカシさん、早いですね。明日の朝だと聞きましたが」
イタチは立ち上がり、阿吽の門に刺さったクナイを抜いた。
「早まることもある」
足を止めない。
カカシの千鳥の射程距離に入った。
「カカシ!ダメだって!!」
黙れと言われたのに私は叫んだ。
「花奏さん大丈夫ですよ。ありがとう。あなたを奪うのは…次にします」
「え…ッ??」
なにを言ったのかわからず呆気にとられた。それでもイタチは微笑んだままで。
「おい、イタチ!!」
「せ、先輩!仲間割れはご法度ですって。とりあえず、その千鳥消しましょうよ」
やっと追いついたテンゾウがカカシの肩に手をやったのに、それを跳ねのけた。
「お前はわからないのか、テンゾウ。オレは鼻がきくんだよ」
「ッ!!」
「アイツから大量の人の血の臭いがするんだよね。しかもね…オレは嗅いだことがある臭いが混じってんのよ」
カカシは続ける。
「イタチ、オレを舐めるのもたいがいにしろよ…お前の服についた血は、だれの返り血だ。オレはお前に任務を行かせていないはずだが?」
「……」
イタチは黙ったまま。
クナイを見つめたまま喋らない。
「なぜ任務服を着ている」
「……あなたに言う必要はない」
イタチは、
クナイを思いっきり
カカシの足もと近くへ刺した。
爆音が鳴る。
砂ぼこりが飛び散る。
「おい待て!!」
カカシが叫んだが、
イタチは瞬身の術を使い、その場から消えた。