第18章 うちは一族として
「っ!」
力の限り、強い力で
イタチのほほを殴りつけた。
鈍い音が神社に響く。
顔を傾けたままのイタチは不気味だ。
ワザと殴られたように
はたから見えた。
殴り返すわけでも、睨むわけでもない。
長い黒髪が頬にかかった。
「おい!なんとか言えよ!」
胸を突き飛ばされたイタチは
血を吐いて口をぬぐう。手の甲に付いたのは紅い血。
うちは一族の
由緒正しき最高峰の
血継限界の血が口もとに滲む。
「おい、この場でコイツを殺せ!」
咆哮をあげた。
「反抗する気だ、フガク隊長には、後から理由をつければ良い!」
警務部隊たちの瞳は、瞬く間に紅く染まる。
敵だ。
殺せ。
クナイや刀を手にかけ、イタチの周りを取り囲んだ。
「おい、この数がわからないのか?数は圧倒的に不利だぜ?お前でも、さすがに死ぬだろうな」
嘲笑さえ輪の中で聞こえた。
イタチは顔を上げる。瞳は警務部隊たちを、真っ直ぐに射抜いた。
ーー答えは変わらない。
ーー己の覚悟は変わらない。
三枚刃の手裏剣の万華鏡が紅く光る。
イタチは万華鏡写輪眼を開眼させた。
「……なんだ…?その目は」
言葉に驚きが滲む。見たことのない写輪眼だからだ。動揺が広がる。
イタチは長刃を構え、万華鏡写輪眼を光らせた。
「数に問題はない。全員で来い。一瞬だ」
「っ、おい、行け!!」
一斉に畳みかけイタチへ向かったときだ。
音もない。1秒にも満たない時間だ。
次々と積み重ねて倒れ込み、
血を吐いて倒れゆく。
警務部隊は万華鏡写輪眼にやられ、この世の地獄を体験する。精神崩壊を起こした。
「っ、…キサマ…」
とどめを静かに確実に刺す。
残りは数名。
目は危険だ。
察知した警務部隊の人間が
素早く印を結ぶ。
火遁・豪火球の術。
イタチは火の球を避けて
地面を蹴り上げる。
幹を蹴り
クナイを次々と投げた。
急所を確実に当て続ける。
印を結ぶ。影分身を発動させ、
そのまま爆破させた。
警務部隊は
地にひれ伏す。
長刀で背中を刺した。
「……」
無音の石段に
生暖かい鮮血が広がった。