第18章 うちは一族として
翌日、しめやかに葬儀がとり行われた。
喪服に身を固めた忍が大勢に並んだ。火葬場で泣く声が所々で響いた。警務部隊たちも黙って見送った。
不思議なことに、花奏は泣かなかった。大人しく手を繋がれたままであった。
夜、クーデターの
時間は決まっていた。
予定通りならば、夜中に始まる。
「イタチ、早く寝かせなさい」
フガクの声を背に、サスケと花奏を2階へと連れていった。
自分のベットに入ったサスケに、布団をかけて電気を消した。小さな明かりは灯ったままだ。
「サスケ、もう寝ろよ?明日も早いんだろ? アカデミーは学ぶことが多いからな」
イタチは笑顔で、サスケの頭を撫でる。最後は笑おうと決めていた。
「ねえ、なんで今日は花奏と寝なきゃいけないの?」
「キャハッ、キャハキャハッ!」
サスケにお腹をくすぐられて、小さな赤子は笑った。布団の中でバタバタ足を動かして笑っている。
「そう言うな、サスケ。明日になれば
迎えが来る。それまで頼むぞ。お前が助けてあげろよ」
もう一度、頭をクシャと撫でたイタチは花奏の頭にも触れた。
「っ、イ……イチャ、イチャ」
頭を触られて見上げた花奏は、イタチの手を握った。いつも触るように、ぎゅうっと。
「イチャー?」
笑った花奏は嬉しそう。
最近名前っぽい言葉を、
発するようになった。
イタチは、それがたまらなく愛おしい。
「……どうぞお元気で」
花奏の頬に触れた指が
小刻みに震えている。
「……兄さん? ねえ、今度は火遁の術を教えてよ」
声をかけても、サスケと花奏に触ったままだった。
連れて行けたら、
どれだけ幸せだろうか。
目を細めてサスケの頭を
名残惜しく、もう一度撫でた。
「サスケ、それは、また今度な。おやすみ」
イタチは笑ってドアを閉めた。
ドアの前で一礼をして、窓から夜空を見上げた。
今夜は、大きくはっきりと満月が覗いていた。