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【NARUTO】柔らかな月を見上げて

第18章 うちは一族として


ずっと黙ったままのダンゾウが、静かに、そして低い声で口を開いた。


「ヒルゼンよ、うちは一族はもう止まらぬ。一刻も早く手を打つべきだろう」


ダンゾウの瞳は、威圧な光を灯していた。右目を包帯で隠し、頭も包帯で隠した男は、イタチから渡された報告書に目を通す。

「…………」

末までダンゾウは読み終えると、巻物を戻し、ヒルゼンの前に軽く放り投げた。



「この報告通りならば、ほぼ間違いなくクーデターと化すだろう。木ノ葉隠れ里の一般人が、被害を被らないなど、不可能であろう」


ダンゾウは断言した。ヒルゼンからイタチへと視線を送り、さらに言葉を続ける。


「うちは一族を根絶させろ。なにも知らぬ子どもも、含めてな」


跪いたイタチの手足は小刻みに揺れた。手に汗が滲む。幾度も任務をこなした。だが、同胞を殺したことなど、1度もない。しかも一族すべてを。

動揺しないはずがなかった。
自分の父親や母親も、殺人リストに入っているのだから。


ヒルゼンは頭をかいた。納得いく結論が出ないのだ。

「ダンゾウ、イタチの前で言う話ではない。まだ決定しておらぬ」


「いくら反論しようとも、結論は出ている。里を脅かす存在を排除する。それが長の役目だ」


「……とにかく、この件は一旦保留じゃ!」

ヒルゼンは忙しなく、椅子をひいて立ち上がった。

「今夜は、うちは一族、シスイのお通夜。準備をすることが大事じゃ」


ホムラとコハル、そしてダンゾウは、ヒルゼンに言われても納得していない。他に方法がないならば、早めにやるべきだという意見が多い。難しい選択だった。


まだ話をするつもりでいたが、通夜の準備もある。静かに火影室から出ていった。




イタチもヒルゼンに一礼し、最後に火影室をでた。

壁にかかる時計はもう12時だ。眩しい光が窓から入り、イタチに注いだ。

見張りはいない。護衛暗部といえど、この話し合いに立ち入ることを禁止した。
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