第18章 うちは一族として
「もはや容認できぬ。木ノ葉の逆賊として処断せざる得ぬぞ!」
机をこぶしで叩く音が、アカデミー上層部たちの部屋で響く。水戸門ホムラも頷く。
メガネをかけ髭を生やす様相のホムラ。髭を触り、頭を整理していた。常に合理的結論を下すホムラは、コハルの意見に同調した。
「うちは一族は、常にクーデターを狙っていた。里を脅かす存在を抹殺するのは身内の役目。仕方あるまい」
「コハル、ホムラ!! 待て、決断を急ぐな!!」
猿飛ヒルゼンは身を乗り出して咎めた。木ノ葉隠れ里を4代目の死後に、再び治めたが、そう易々と暗殺を支持するわけにいかない。
「落ち着くのじゃ、お主ら……」
キセルを吹かす余裕はない。長机でひじをついて頭を抱えた。里を守るために、同胞を何十、いや、何百人以上を殺すなど、地獄ではないか。悲劇だ。
「イタチよ……もう一度聞く。すべて真実なのじゃな? 近日中……いや、早ければ、明後日にもクーデターが実行されるかもしれぬ。間違いはないのじゃな?」
何度も確認をするヒルゼン。
間違いであって欲しいと声が震えた。
「間違いはありません」
イタチは表情を変えない。
上層部たちの前で跪いたまま報告を繰り返した。
「…………イタチよ、止めれぬのか、話し合いで。おぬしがいちばん近い。ならば……」
「なにを生温い!」
コハルは大声で遮る。
ホムラも声を荒げる。
「うちは一族の全精鋭部隊がアカデミーを襲撃した場合、内外で混乱を招くかもしれぬ。第4次忍界大戦の引き金になるかも知れぬぞ」
「……それは……分かっておる!」
「分かってなどおらぬ!だからここまでやりたい放題されておるのじゃ! なぜ木ノ葉隠れ里の人間が、うちは一族の街に足を踏めぬ。おかしいではないか! 奴らは確実にクーデターの準備をしておるのじゃぞ! 遅いぐらいじゃ!」
「分かっておる。だが、ワシは反対じゃ!」
イタチは黙って聞いていた。覚悟は決めている。
ただ、
「第4次忍界大戦」という言葉に
酷く動揺する己がいた。
「"うちは"はかつての戦友じゃ。力ではなく、言葉で話しかけたい。そうワシは思っておる」
3代目猿飛ヒルゼンは、いくら御意見番のコハルやホムラから言われても、答えを変えずに、対話をひたすら望んだ。