第17章 答え
「頼む。今日はこれで終わりにしてくれ」
頭を軽く下げるフガク。警務部隊の長髪の男は2人を見て頷く。
「わかりました……ただ、フガク隊長」
警務部隊の1人が近寄り、耳元で話す。
「会合の件ですが、近日中にやり遂げる覚悟でいます。決定事項だと私は認識しております。ご決断を」
「……分かっている。戻れぬことは」
「良いご判断をお待ちしています」
2人は小声で話した。
口の動きで内容を理解したイタチは、気づかれぬように床を向いた。
下唇をかむ。戻れぬ未来。
恐ろしい結末。
最悪な未来へと進む
足音が聞こえた。
「イタチ、命拾いしたな」
唾を地面に吐き捨てるような声だった。警務部隊は睨みながら立ち去ると、フガクは緊張の糸が切れたのか、深い息をついた。
「イタチ……入るぞ」
フガクが玄関へと石段を歩く。
イタチは父親の背中を見ていた。写輪眼ではなく、万華鏡写輪眼を開眼させて。
覚悟を決めた。
肺に溜まる大きな息を吐き出す。
「いや、サスケと出かけてきます」
膝に手をつき、立ち上がったイタチ。目はもとに戻していた。
「なに?」
フガクが振り返る前に、
イタチは瞬身の術を使い、泣き顔の花奏を抱き上げた。
「すまない。あー、凄い泣き顔だな」
「ひっ……ひっ……」
しゃっくりをあげて、涙でぐちゃぐちゃな赤子。タオルで拭いても目が赤い。
「兄さん、だいじょうぶなの?」
「ああ。よし、サスケ、修業に行くか」
「うん。でも兄さん……だけど」
戸惑う。無理はない。父であるフガクが鬼の形相なのだから。
「遠慮するな」
イタチはサスケの肩に触れる。
「悪いが父さん、出かけてくる。話は帰ってから聞きます」
「……勝手にしなさい……。説教はあとだ」
諦めたようにフガクは背中を向けて、家の中に入っていった。
「はい」
静かに頷き、
イタチは瞬身の術を使った。