第17章 答え
本当に大切な人は
失ってから気づく……。
シスイ……。
イタチは街を静かに歩いた。家路へ向かう足取りは重い。
1歳ほどに成長した花奏を抱き、となりには、なにも知らないサスケ。兄の沈んだ姿に、空気を読んだのか、黙って歩いていた。
イタチは昨夜、大切な親友を失った。たった1人の、かけがえのない友だち。
イタチと花奏は昨晩、先に帰る。そのあと、警務部隊たちは、過剰に反応してしまい、過激なやり取りが始まった。今にもクーデターを決行しそうであった。
残ったシスイは、木ノ葉へ行こうとする仲間を危険だと判断をした。
止める為に、うちは精鋭部隊に「別天神」を使おうとしたのだ。
その瞬間をダンゾウは
見逃さなかった。
会合場所に、密かに忍び込んでいたダンゾウは術を使う。
瞬く間に霧で視界が真っ白となり、あたり騒然と化した。
その混乱に乗じて、
ダンゾウはシスイを連れ去る。
自分のやり方で里を守るのがダンゾウのやり方だ。
シスイに
「別天神」を使われては困る。
ダンゾウの目的は、
木ノ葉の脅威を根から絶つこと。
そして目を奪うことだからだ。
術を使えないように、
目を奪えば良い。
ダンゾウは目を集中的に狙い、シスイに襲撃を決行した。
圧倒的に不利な状況であった。
よもやダンゾウが、しかけてくるなど、シスイは予想すらしていない。
万華鏡写輪眼を開眼させても、チャクラや体力で、ダンゾウと差がある。
すぐに対処できなかったシスイは、命からがら、逃げ切れた。
ただ、大事な目の片方を奪われてしまう。憔悴したシスイは、ダンゾウがいないことを確認し、イタチと落ち合った。
自身の残った片目を託して、シスイは崖から飛び降りて、命を絶った。
「この里を……うちはの名を守ってくれ」
それが、
親友の最期の言葉だった。