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【NARUTO】柔らかな月を見上げて

第17章 答え





「父さん……オレはふつうに生きたい。変わってくれ……目を覚ましてくれ」


イタチの目はいつの間にか、
涙が滲んだ。



二重スパイをしたくない。
スパイ自体をしたくない。

平和を望んだ。4歳で経験した戦場は、イタチの胸に深く刻まれる。


平安な木ノ葉隠れ里の為に、
スパイを引き受けた。


ただ、……本心を語れば
それだけではない。



変わりゆく父上を。


疑問すら持たずに
従う母上を。



イタチは





止めたかった。



両親を止めたい。



このまま進めば

確定してしまう

悲しい未来を




どうしても



変えたかったのだ。






だから二重スパイを引き受けた。

だから泥を被る任務を
引き受けたのだ。


「……木ノ葉と、うちは一族に、下も上もない。対等だ。もう諦めないか、父さん……」


「……」

涙を浮かべるイタチを
フガクは黙って見ていた。

「お前は……いったい何が起こった。その赤子が来てから、特に変わってしまった……」

フガクは優しいイタチを嘆いた。時として非情に振る舞う。それが忍だと伝えたあと、精鋭部隊から声が上がる。


「フガクさん、その赤ん坊……クーデターで使わないか? 話によると身寄りがないガキらしいな」




「……止めろ」

イタチは即座に静止を促した。男は挑発行為を止めない。

「そいつはつまり孤児。死んでも誰も困らないだろ? 木ノ葉も困らない。うちは一族も困らない。 被害は最小限にとどめることが出来る。いい案だと思うが?」



イタチに嫌がらせ行為を
行っていた男だ。

赤子を指差して言う。顔はニヤニヤと嗤っていた。周りにいる者は下品な表情を浮かべ肩を揺らす。


精鋭部隊の嫌味な男が喋り終えたのと、ほぼ同時だった。

凄まじい轟音が、集会所隅々まで鳴り響く。一同はすぐに壁際へ顔を向けた。


「……っ!!?」

イタチが拳で壁を殴ったのだ。壁にできた大きなヒビは、天井まで走る。


「……言葉には気をつけろ」


壁石がパラパラと床に落ちる。
拳に血が滲んだ。

となりに立ち、赤子を抱いたシスイ自身も仰け反るほどだ。精鋭部隊に戦慄が走る。

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