第17章 答え
「言葉を慎め!」
さすがにフガクは声を荒げる。
木ノ葉から政権を奪うためにクーデターを企む首謀者、フガクにとって、イタチの言い放った言葉は、真逆な答えだ。
「うちはを無くすだと!?何を言っているんだ、イタチ。馬鹿げたことを言うな」
フガクは怒りを露わにした。
「おい、アイツをだれか止めろ!」
「表へ出せ!」
騒めきは怒号に変わる。それでもイタチは話を辞めない。
「……日向家はどうだ。うちは一族のように、不満を口にしているか?」
「…………日向?」
「奈良家は? うずまき家、はたけ家、猿飛家、山中家、秋道家、夕日家、犬塚家、油目家……」
思いつく名家の名を連ねる。
「オレは木ノ葉の忍達は、全て名家だと考えている。 尊敬をしている。傲慢で力を過信した一族は……うちはだけだ」
イタチは
精鋭部隊を睨んだ。
「こんな街など……本当に必要か?いらないと思わないか? うちは一族は、もう特別な存在ではない。 オレはふつうに忍として生きたい。特別になりたいと思ったことは一度もない」
そこまで言った時だ。
カッ!
クナイがイタチの頬をかすめて、
柱に刺さる。
頬を過ぎる際、肌を切り裂く鋭い音が鳴った。
「コイツは暗部の人間になり、頭がイカれたようだ」
頭を指差してゲラゲラと嗤う精鋭部隊。落胆の表情を浮かべるフガク。
シスイだけが賛同して
頷いていた。
イタチはクナイを避けなかった。
血が滲む。頬を赤い雫が垂れ落ちた。頬を甲で拭う。手のひらは汚さない。帰り道、可愛い花奏に血痕などつけたくないからだ。
「オレは間違っていない。うちは一族など、いらぬと言っているのだ」
「イタチ……」
困惑したフガクの目。真っ直ぐにそらさずに見つめた。