第17章 答え
「前々から、シスイは軟弱野郎だと思っていたが、ここまでとはなあ」
肩を震わせ互いに嗤う姿。イタチは黙って様子を見ていた。前に立つフガクは、ため息を吐き腕組みをしていた。
「シスイ、お前は力がある。シスイと私とイタチ。そして、ここにいる精鋭部隊が一致団結すれば、一瞬で落城出来る。自信を持ちなさい」
「しかし……フガクさん……」
とシスイが言いかけたときだ。
「すまないが……花奏ちゃんを抱っこしてあげて欲しい」
イタチが有無を言わさず、赤子を差し出した。
「……え? あ、ああ……」
人見知りが激しい花奏。シスイに抱かれても何も言わなかった。
しかもシスイは、会って二回目で、初めて抱く。なのに何も言わずに抱っこされていた。
「……ぅあ……」
張り詰めた空気が伝わっていたのか、不安な目で、イタチに顔を向けていた。
視線を感じたイタチは、目を細めて花奏を撫でる。そして静かに壇上に立つフガクへと、イタチは目線を上げた。
「アカデミーに何がある? 父さん」
息子は父親に問いかけた。
「おいおいおい、父さんだってよ」
「バッカじゃねーの?フガクさんと言えよ、イタチ!」
罵声が矢継ぎ早に飛んだ。フガクは腕組みしていたし、表情は変えない。
「なにを言い出すかと思えば……イタチ、どうしたんだ?」
「……」
イタチはある時期から、「父上」と呼んだ。「父さん」と呼ぶのは、クーデターの話が出るまでだった。
二重スパイを始めたときから、イタチは「父上」と呼名を変えたのだ。
「父さん……、アカデミーには学問を学ぶサスケがいる。サスケだけではない」
イタチは、手裏剣の授業を思い出していた。忍になる為に努力する生徒たち。笑顔溢れる子供たちを。
「クーデターを決行すれば、子どもたちに被害が及ぶ。たとえ無血革命であろうとも、混乱を招く。怪我をするのはいつも弱者だ」
そう言い切った。
初めてだった。イタチが、皆の前で自分の気持ちを伝えたのは。さらに言葉を続ける。
「オレは……うちはを無くしても良いと思っている」
イタチは断言した。