第17章 答え
集会所は、うちは一族の街から離れた場所にある。大事な会合時にしか使わない。「うちは」ではない、木ノ葉隠れ里の人間は、誰一人として足を踏み入れる事を禁じた。
「足元に気をつけなさい」とフガクがイタチの先を歩く。
抱かれた花奏は、きょろきょろ右左と首を動かす。掴む小さな手が力み、好奇心よりも、今は恐怖心が膨らんだ。
暗い階段を下ると、真っ直ぐに続く廊下が現れる。その道を進めば集会所だ。地下にある。湿った空気が漂っていた。
フガクとイタチ。そして抱かれた赤子が、廊下を通り過ぎるたびに、柱に設置された灯りが、ゆらゆらと揺れる。
集会所に入ると、イタチは目を見開く。100人を超える精鋭部隊の忍たちが膝をつき、今か今かと2人が来るのを待ち構えていた。
うちは精鋭部隊の実力は上忍レベル。さらに写輪眼を持つ。
暗部や忍と衝突すれば無傷で済まないだろう。互いに、血で血を洗う泥沼の戦いになり、火の国が揺らぐ。
フガクは集団の間を分け入り、壇上へとのぼる。集まった人たちに目を向けた。
「皆、すまない遅くなった。さっそく始めよう。イタチは端にいなさい」
膝をついたまま精鋭部隊は、フガクの話を真剣に聞いた。一部の者は、イタチへと横目で追う。
「おい、アイツ見ろよ。赤子を連れて来ているぞ」
「マジかよ、やる気があるのか?」
「は? あるわけないだろ。前回も前々回もアイツは休んでるんだ」
不満を吐き出す騒めきが、あちらこちらで始まる。
イタチは気にしていない。表情を変えずに、沈黙を保ち壁の方へ歩いた。親友が来るのを手を上げて、イタチを待っていた。
「赤ちゃんに今日の会合は、まだ早いんじゃないのか?」
シスイは口端を上げて、赤ん坊のほっぺを指で突くと、キャハキャハと花奏は、くすぐり笑顔になる。眠気はどこかへ飛んでしまったようだ。