第17章 答え
「イタチ、早くしなさい」
玄関ですでに靴を履いたフガク。
二階に向かって声を荒げる。
「……わかっています」
深く長い息を吐き、赤子のオムツやマグを鞄に入れて自室から出た。
「に、兄さん……」
自室の扉の隙間から、こちらを、うかがうようにサスケが見ていた。これ以上不安を煽ってはいけない。
「ああサスケか……母上を頼む。早く寝ろよ」
無理矢理、口を横に広げた。ワザとらしい表情だった。
「う、うん。 いってらっしゃい…」
いつもなら、もう一声弟にかけてやる。周りを気にする余裕が、イタチになかった。
「……あ、うぅ」
「ああ。うん。行こうか……」
頬に触れたのは小さな手。ちょっと熱くて、手のヒラは、ぷにゅぷにゅしていた。
階段を静かに下った。しっかり落とさぬよう、赤子を抱きかかえたまま。毛布も持ってきた。抱いていれば、きっと寝るだろう。
イタチは会合内容を毎回シスイから聞いていたし、事後内容をフガクから教えられていた。
毎回、内容のない薄っぺらい会合だった。とても行く気は起こらない。
だが、今回は違う。
なにが話し合われるのか。
イタチの赤子を抱いた指に
力が入った。