第17章 答え
夜。8時30分を回った。
会合は9時から。
花奏はミルクを飲み、お風呂をイタチと入った。そのあと、いつもなら、長く熟睡する時間だ。
イタチやフガクが外出する頃には、
夢の中にいる予定であった。
「ふぎゃぁ、……ふぎゃぁ」
泣く赤子は手を離さない。どこにそんな力があるのか。小さな爪が白くなるほど、抱かれるイタチの二の腕を強く掴んだ。
「ダメね……」
ミコトはいくら引っ張っても離れない姿に、
深いため息をついた。
小さな手が離れたと思っても、花奏は泣き叫び、イタチをすぐに求めた。
ヒックヒックと
しゃっくりをあげる顔はへの字口。
前回家に来たときより、明らかに人見知りが悪化している。
昼間はミコトやフガクにも、ニコニコと笑顔を振りまいた。問題は夜だ。グズグズと、今も泣いている。
主に世話担当のカカシ、テンゾウ、イタチ。この3人以外、夜の対応は不可能となっていた。今日はましてや、夕方にぐっすりと寝てしまう。
眠気が遠のいた今。
赤子の人見知りは、さらに
拍車がかかる結果となった。
「ふぎゃぁ、……ふぎゃぁぁぁあ」
大粒の涙が花奏の瞳から溢れ出し、イヤイヤと顔を振り、イタチの胸板に埋めた。
息を吐いたのはフガクだ。
「……イタチ、連れて行きなさい。そのうち寝るだろ」
「……!?」
耳を疑った。コートを羽織り身なりを整えるフガク。普通に外出する準備を始めた。
硬い表情のイタチは、父親の動きを追った。
何を言った……?
息子へと顔を向けるフガクは
片眉をあげる。
「何をしている。さっさと準備をしなさい。……イタチ、聞いているのか?」
「…オレは……今日はもう行かない」
首を振った。無理だ。風呂に入ったあと、夜道を歩けば風邪をひく。しかも今は冬だ。なぜ赤ん坊を連れて行かなければならない。目は反感に満ちた。