第4章 15分
「先輩、報告書はもう出しましたか?いつもこの部屋で書いているので、今日も帰ってくると思ってました」
テンゾウは首を傾げる。
「報告書?あのね、そんな事を言ってる場合じゃ、今はなくてだな…」
カカシは途中で言葉を詰まらせ、黙ってしまったが、私も目をひん剥いて表情を固めていた。
やってない。三代目から里に戻った瞬間に、呼び出しをされた所為で、報告書の存在をすっかり忘れていた。ぐーすかお互い寝ている場合ではなかった。
横目でこちらに目をやるけど、いや、私も仲間だよ。
カカシは、ため息混じりで頭をかきながら、テンゾウに言葉を繋いだ。
「任務が終わったら、まとめて出すわ。ま、イタチが帰ってくるまで仕方ない。待つか、花奏」
「うん、そうだね。さっき三代目にもらった資料を確認する事も大事だしね」
ああ、と私に相槌をうち、奥の空いてるスペースにカカシと腰掛けた。
2人で巻物に書かれた、事件の中身を確認していれば、ボタンも何故か、カカシのとなりに寄る。
「カカシ隊長!じつは、今日、サンドイッチを作ってきたんです!食べませんか?」
「サンドイッチ?」とカカシは驚くけど、私は目を爛々と光らしていた。
え?え?食べたい。食べたい。食べたい!昨夜から何にも食べてないのよ、私。
じとーーと羨ましく眺めているが、カカシしか目に入らないボタン。
「はい!カカシ先輩の為だけに頑張って作ってきたんです。食べてくれませんか?」
え、カカシ限定?カカシってあんまり食に対して無関心だから絶対お断りするって。私が食べてあげるのに!
戸惑うカカシに、まったく御構い無しのボタンは、にっこりと笑みを浮かべる。
手元には、ピンク色の可愛いらしいお弁当箱があった。