第4章 15分
ジャジャーーン!と言いながら蓋を開けたボタンは、得意げにカカシを見つめる。
「愛情いっぱい込めて作ってきたんです!美味しそうでしょう?」
と、お弁当をカカシの方へ持っていく。お店で売っているように、サンドイッチが綺麗に並んでいた。
中身は、シャキシャキのレタスやトマトの野菜や、じゅわりとしたトンカツが挟んであって、とっても美味しそうだ。
「うわぁーー!美味しそうーー!」とカカシを押しのけて叫んでしまう。
もう食べたい。ヨダレが……食べたい!
「いやー、美味そうですね、先輩」
と向かい側のソファから、テンゾウが私に同調するように、カカシに伝える。
「確かに本当だな。ボタン、わざわざありがとう。だが、オレは今、お腹は空いて無いし、食べている場合じゃーーー」
「え?カカシ食べないの?勿体ない!じゃあ、もらっていい?昨夜から何にも食べてないんだ。じゃあ、いただきます!」
間髪入れずに私が手を挙げた。
「っ!?おい……花奏⁈」
ひょいとサンドイッチを掴んで口を開けて食べ始めた途端、ボタンが瞬く間に怒りだす。
「花奏先輩!!なにしているのですか!アタシ、カカシ隊長の為に頑張って作ってきたんですよ!」
「あ、ごめんね?でも、カカシは食べないんだよね?だったら私が食べるよ。すっごく美味しいよ。ボタン、ありがとう!」
昨夜から、本当に何も食べていないせいで、もう我慢出来ずに食べてしまっていた。
「花奏先輩の為に作ったんじゃ無いのにーー!もうーー!」
「悪いな、ボタン。許してやってくれ。花奏は、本当に何にも食べてないんだ。オレは朝方里に戻って来る前に、結構な量を食べているから、腹は減って無いんだ」
「え!?でも、でも!」とボタン。
「兵糧丸もあるし、だから、花奏にあげてやってくれ、次回必ず食べるから」
「っ!!……カカシ隊長……!」
涙腺を緩ませてキラキラと光らせるボタン。
その時、空を切るように、忙しなく扉が開く音が聞こえた。