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【NARUTO】柔らかな月を見上げて

第1章 家


「おぬしの家じゃ」

きっぱりと三代目は声を出した。

「え?ご冗談を……私の家……?木の葉商店街から、数キロ離れた戸建ですよ?あの、赤い屋根の……」

そんなバカな、信じられない。あの家は私の父が建てた大切な家なのに……。

よもや、自分の家が火事に遭うなど考えもしない。いや、待ってよ。私の服や下着…違う。

もっと大事なもの。お金……お金、え、全財産、家に置いてたんだけど。

「……三代目、本当に、本当ですか?何故、何故ですか?」

声を震わせながら確認するが、嘘では無いと目が答える。

「ーー放火じゃ。最近、放火魔が木ノ葉隠れ里を騒がせておったじゃろ?ソイツがやったようじゃ。捕まえたが、花奏の家は全焼じゃ。殆ど何も残っておらぬ」

「そ、そんな……」

ーーー信じられない!じゃあ今日はどこへ帰ればいいの?他里から来た私は、この里に親族は誰もいない。友人は実家暮らしばかりだ。


唯一の身内であった父は、
大戦中に亡くなった。

天涯孤独で、父の形見である家。思い出の品が溢れた品が一瞬で消えてしまったなんて……。

ーーーどうしてこんなことに⁈


頭で朦朦と纏まらない考えを兎面越しから行っていたが、答えが見つかるわけがない。何を考えても、帰る家が無いのだから。


ならば今日は、どこで寝ようかと、唸りそうな顔をお面越しからしていれば、ずっと黙っていたカカシが口をひらいた。

「ーーーそういう事ですか、三代目」


平然と前を見据えながら確認するカカシは、少し不服そうな声色をだす。

「カカシよ。理解したか?暗部ろ班隊長ならば、同期を助けるのも役目じゃ。まして、花奏だ。身寄りがいない。おぬしが一番良く分かっているはずじゃ」

キセルから口を吸い、息を吐いた三代目は、淡々とカカシに伝える。


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