第1章 家
暗部に働き始めて、
今日がちょうど8年目。もう8年。まだ8年。
三代目に突然呼び出しされてしまった。
うーん、どうも嫌な予感しかしない。あの爺さんはたいてい変な話が多い。
「花奏です。失礼します」
ノックを三回しながらドアを開けた瞬間、思わず固まってしまった。
なぜ、カカシがいるの?
ふわりとした銀髪を動かし、私を狐面ごしから、横目で見るが、また真っ直ぐに三代目の方を向く。
わけが分からずに足を運び、ろ班暗部隊長、そして私の幼馴染の、はたけカカシの隣に並んだ。
「お呼びでしょうか?三代目」
猿飛様は、真正面に長机でスキルを蒸しながら、兎面を被る私へ目を向けられている。
少しいつもとは雰囲気が違い、神妙な面持ちをされて、私の方を見つめられ、なんだかこちらまで緊張してしまう。
只事では無い事が起きたような気がしていた。張り詰めた空気が漂う中、三代目が溜息を漏らす。
「花奏、昨夜、火事があったのは知っているか?」と猿飛様。
火事?何の話をしているのだろう。というか、たった今木ノ葉隠れ里に仕事から帰って来たばかりなのだから、知るわけが無い。完徹中の頭をフル回転させて、私は、はっきりと答えた。
「いえ、存じ上げておりません」
そう言葉を出すけれど、焦臭が街に漂っていたのは、朝方帰ってきた時に気がついていた。可哀想に。誰の家が燃えたのだろう。