第17章 答え
「……や、やってるよ、クソ……」
ハァハァ……とサスケの肩は大きく上下している。深い息を吐き汗が浮き出る。
なんで当たらないんだ1つも……。
大木の幹部分からイタチの足は、ほとんど動いていない。まざまざと実力の差を見せつける兄。サスケに悔しさがにじんだ。
手裏剣やクナイが、イタチの背後の大木に数十本刺さる。1つも当たらない。かすりもしない。
標的は目隠しで手は使えない。逃げるだけ。サスケは奥歯を噛み締めて、前の標的に、強い眼差しで見つめた。
「ほら、サスケ、もう一度だ」
クナイや手裏剣をすべて抜き取るイタチ。
サスケの方に歩を進め、足元に置き、4、5本は手に掴ませた。返事のない弟の肩を、兄は軽く叩いた。
「もう降参するのか、サスケ」
「! まだまだ!」
バンダナで目隠しをするイタチの広角は上がる。見えていないはずなのに、背中を見せて戻る兄。
いまがチャンスだ。サスケは素早くクナイや手裏剣を取り、至近距離の背中めがけて、思いっきり武器を投げつける。
イタチは瞬時に地面を蹴った。
カカカカカッ!
3メートル離れた大木にクナイが当たる。だが手は止めない。矢継ぎ早にクナイや手裏剣を徹底的に投げ切るつもりだ。避けられても止めない。
カカカカカ!
「ハァハァ……」
幹に大量のクナイや手裏剣。
背中に目でもついてるの?
苦々しくサスケは汗を拭った。
なんで当たらないんだ。
「なかなかやるな、サスケ。今のはオレも危なかった」
と、腕をあげて袖口を見せるイタチ。ほんの小さな切れ目が入っていた。途端に弟の瞳に光が差し込んだ。
「あ! ちょっとでも兄さんの負けだよ。分身の術教えてよ!」
キラキラ目を輝かやせるサスケは、イタチに近づいた。