第11章 闇 終
カカシは、
ヤナギの手を目がけて泳ぐ。
近づけば近づくほど分かる。
ヤナギの手首は
縄で堅く縛られている。
まさか……無理心中……!?
カカシは
心のなかで叫ぶ。
ヤナギ!!!
足をバタ足をして深く潜れば、
どんどん大きくなる。
がっしりヤナギの手を
握る。触った腕は、生気を感じない冷たさだ。父さんの手を触ったように……。
握った手に反応はない。
急がないと……。
引っ張り、ヤナギをみた。
顔は青白く、ぐったりしている。
カカシは、すぐに水面に向かって泳ぎだす。
あと少しだぞ、ヤナギ、
がんばれ!頑張れよ!
がっしりとヤナギを捕まえたまま泳ぐ。
必ずお前を助ける。
ぜったいになにがあっても、
助けるからな……!!
カカシは懸命に泳ぐ。
足にも縄が結ばれた跡があったが、破れていた。なにかクナイで切ったような跡があった。
「ヤナギ!!!」
陸に引き上げ、横たわるヤナギをみた。カカシは息切れして、叫ぶ。
顔をペチペチと叩いたが、反応はない。呼吸もしていない。カカシはゾッと恐怖が襲う。
……父さんの、二の舞いに……!?
なにをするのか……
早く、早く……カカシは一瞬パニックに陥る。
カカシの瞳孔は開き
ポタポタ髪から水滴を垂らした。
「カカシ、しっかりしろ! ヤナギへ心肺蘇生をすぐに始めろ!」
パックンに言われ、ハッと反応する。花奏は、右手をしたにして、指のあいだに左指を入れて重ねる。
まっすぐ腕を伸ばし、胸の部分に手のはらに力がかかるように押し始める。それが心臓マッサージ。
「胸が5センチ沈むほど強く、早く、絶え間なく!」
花奏は学んだことを思い出すように叫ぶ。汗が滴り落ちるほど、強く胸を圧迫する。
「カカシ、疲れたら次おねがい!」
手のはらを使って押す。
1分間に100回程度の速さで。
全体重を使って胸を圧迫する。
「ああ。ヤナギ、しっかりしろ!!」
カカシは声を荒げる。
「ヤナギ!!」
カカシは声をかけ続ける。2人は熟知していた。 心肺蘇生は、アカデミーに入り、一番はじめに学ぶ。そして何度も学習することだった。