第11章 闇 終
すると、ゴボッ!
ヤナギは水を吐き出す。
ゲホゲホっと
苦しそうに咳を続ける。
目をうつろに、
ぼんやり薄く目を開ける。
「ヤナギ!」
カカシと花奏、パックンが叫ぶ。ヤナギの目にはじめに飛び込んだのは、カカシだった。
「カカシ……お前が助けたのか?」
弱々しい口調で言うヤナギ。
「いや、花奏も、パックンもみんなだ」
カカシをみた。頭の先からびっしょり濡れていた。
「飛び込んで探してくれたのか……」
泣きたくなった。
だれか、助けてくれ、と水中で叫んだ。俺を助けた男は、俺の父さんと母さんを追い込んだヤツ……だと?
ヤナギは泣き叫んで、カカシを殴りたい。
力が入らない。ぐったり体力はない。
「カカシ……俺の父さんと母さんはお前のせいで自殺した。 お前は、赦しの対象から外れる。一生かかってもゆるせないからな。 お前も、俺を許すな。俺の両親のせいでサクモさんが亡くなったんだからな……」
カカシは、「ああ。……すまない」と言ったが、もう遅いことはわかっている。だれも時間を戻せない。
サクモも、ヤナギの両親も、
今日……亡くなってしまった……。
「だけど……」とヤナギ
「俺を助けてくれて、ありがとうな。カカシ、花奏、パックン……。 いなかったら、俺も、いっしょ水底に沈んでいたよ……」
ひたいに手を置いたヤナギの目からは、
無数の涙が溢れおちていた。