第2章 林檎(手下/アップルポイズン)
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「そうだなぁ、ジャックハートあたりならすぐに仲良くなれそう。」
「...........、」
「あ、ごめん。林檎嫌いだもんね。」
「林檎ではない。」
明らかに嫌悪感満載のオーラを湧き出すもんだから、本当に仲が悪いのだと再度感じさせられる。
よいしょ、と声を出して起き上がってもう一度長い伸び。
「あー、歩くのだるい。」
「歩け。」
「わぁ、辛辣。」
むすっとした顔をしてみせれば、呆れた顔で腕を引っ張られた。
しかしなんやかんや言っておきながらもこういう事をするのは林檎だけだ。
その優しさが仇とならなければ良いけれど、なんて失礼なことを思いつつも林檎をみやる。
私の身長よりもはるかに高い視線と目を合わせようとしてもなかなか気づいてくれない。
「今日の夕飯は?」
「カレーだ。」
「隠し味はもちろん?」
「林檎だ。」
「わかってるねー。さすが林檎界の何でも屋!」
煽てれば頭を叩かれる。
でもやはり痛くない。
毒林檎のくせして優しいだなんて、毒はどこへいったのだろうか。
毒も何もありはしないように感じるけれど、彼は立派なヴィランズの一番弟子。
いつかその邪悪さを感じる日が来るのかわからないけれど、その日を楽しみに待ってみようではないか。
ーーー
(終わり)
林檎は生しかたべれません。なんででしょうね。