第2章 林檎(手下/アップルポイズン)
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「......、りんご、」
「林檎ではない。アップルポイズンだ。」
「アポー....。」
「アポーなんて可笑しな名前でもない。いい加減起きろ。」
今の私は相当変な顔をしていると思うけれど、眠いのだから仕方がない。
「....、何時?」
「7時だ。もう夕飯が出来るぞ。」
「..、あー、うん....、起きる....。」
のそのそとベッドから起き上がり、大きく伸びをする。
昼寝にしては長すぎだとボサボサの髪の毛を梳かしながら彼はため息をついた。
なんやかんやで世話好きなので、髪の毛が梳かし終わるまで大人しくする。
「仕方ないじゃん。私の世界じゃ寝ることしか無かったんだから。」
「しかし今だけでも普通の生活を送るべきだ。寝てばかりいると他の者と親交もはかれない。」
「....そうだね。」
この世界に来てからというもの、女性陣としかコミュニケーションを取れていない。
男性陣もエイトフットかアップルポイズンとしか喋れていないし、リクルーティング活動で他の人と一緒になった場合のみお気楽キャラを続けている。
「なんとなく、仲良くできない気がして。」
「お前なら他人と仲良くなることなんて朝飯前だろう?」
「そうなの?自分じゃわかんない。」
サラサラに梳かし終わった髪の毛を手で梳かしてみれば、引っかかりもなくするりと指を抜けていく。
梳かしている間も痛くなかったし、いつ誰にこんなことを学んだのだろうとふと疑問に思うけれど、突っ込んだらおしまいだと思ったため話題を続ける。
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