• テキストサイズ

お菓子詰め放題(ジャンル各種)

第7章 時々おかしい刀剣男士(髭切)











「...あれ、主?」

「....、ひ、髭切....?」


寝間着のままの髭切が暗闇から出てきたことにより、正体は判明したものの、こんな時間に一体何をしているのか不思議でならない。

兎にも角にも、髭切であることがわかれば安心だ。

安堵の息をこぼし、彼を見やる。
その手には何かの破片らしきものがあった。


「...もしかして、何か割っちゃった?」

「...、ごめん、これ....、」


珍しくしおらしい態度をとる彼の手の中のものをよく見れば、私が使っている湯飲みのイラストが描かれており、どうやらこれはその破片らしい。


「嗚呼、私のやつか。」

「...暗くて、取り間違えちゃったんだ...。」


私から視線を逸らして俯く髭切の表情は、今までに見たことがないくらい落ち込んでいて、本当に申し訳なさそうにしている。

初めて見る彼の表情に、私は思わずじっと見つめてしまう。
こんな顔も、するんだ。


「...あっ、それよりも、怪我とかしてない?破片がどこかに刺さったり...。」

「いや、それは大丈夫だよ。」

「そう、良かった。...さ、片付けようか。」


ちりとりはどこにあっただろうか、なんて考えていたが、破片は大きく5つほどに割れていたため必要ないだろう。

手で拾ってしまおうか。
手を切らないように一つ一つ丁寧に拾い上げていく最中、背後から小さな声が聞こえてきた。


「...怒らないのかい?」

「え?..、っ、」


振り返った時、拾おうとしていた最後の破片に指を掠めてしまい、人差し指の先に小さな痛みが走った。

少しばかり眉をひそめると、髭切は慌てて此方に駆け寄り、私の切った方の手を優しく包み込み、傷口をじっと見つめる。
その表情は真剣で、思わず胸を打たれる。




/ 33ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp