第5章 見てほしい/見ています(鬼灯/夢主視点+鬼灯視点)
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これを言ったところで何一つスッキリすることはないのだが、もう頭がパンクしていて何も考えられないのだ。
「....会えなかった。会いたかった。私だって頑張ってる....、はずなのになぁ」
私はいったいどこで何を間違って、こうなったのだろう。
彼を好きになってからは身嗜みにとことん気を使うようになって、前はつけなかった香水も付けてみたりしたのに、ちっとも良い事が起こらない。
良いのは香りだけだ。
「可愛い子になりたかった。なんでこんな捻くれて馬鹿みたいなやつになっちゃったんだろ」
一つ一つ書物を的確な場所に戻していく。
歩く速度を次第に遅くなってきて、足を引きずるような形でズルズル歩いていた。
もう、なんだか面倒くさいのだ。全部が全部面倒くさい。
昔もそうだった。
好きな先生のために授業を必死に頑張って解いて、決して自分から解き終わったと言わずに丸付けを待つ姿勢は随分と伸びていたと思う。
だけれどいつも先に歩み寄るのは騒ぎまくる頭の悪い人達で、その人たちばかりに教えている。そうして私を見る事なく正解の解き方に移ってしまう。
テストもその科目だけは90点以上の点数を維持していたのに、先生は点数2、3点上がったところで何も言ってくれない。
それなのに馬鹿には赤点回避できましたね、とか言って笑うんだ。
そうして名前すらも覚えられずに、結局最後はそのまま終わった
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