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お菓子詰め放題(ジャンル各種)

第5章 見てほしい/見ています(鬼灯/夢主視点+鬼灯視点)














初めて好きな人ができました。


挨拶すらもろくにできないような高い位置にいる貴方を見上げることしかできないのに、それでも好きになってしまった。


恋心はストップをかけるのが非常に難しく、ありとあらゆる妄想までも脳内で繰り広げられる。

もしかしたら、今日彼とすれ違うかもしれない。そうして挨拶をして、目線がバッチリと合うのかも。
そうであればどれほど幸せな事だろうか。そうなってしまったらきっと、死んでもいいかもしれない。


...まあ、そんな気分を味わえるほど現実は甘くなくて、厳しさばかりが押し寄せてくる。

上司にやってほしいと言われて断れなかった書類や、片付けて置いて欲しいと同僚の綺麗な女の子に頼まれてしまって積み重なった巻物の数だとか、お昼の時に背後からかけられてしまった熱々のコーヒーだとか。


嗚呼、最悪だ。
彼にも会えず、一目すらも見ることができない今日は本当に最悪な日だ。


あとは巻物を片付けるだけだが、腕時計の時間はすでに時刻は夜の9時を回っており、業務時間を3時間も大幅に超えていた。

周りのみんなは帰ってしまって、残ってる人は私だけになっているし、なんだかもう理不尽にもほどがある。


断れない私が悪いのは事実だし、それを知って頼み込む周りの人も悪いしのも事実だし、全部結局のところ自分が悪いのだ。
そう思われてしまっている自分自身が大嫌い。



書庫室は誰一人としていなくて、私の足音だけが響き渡る。


「....しんどい、嗚呼しんどい。なにこれ、いいこと全然ない。最悪。呪い殺すぞ全員」


人をいない事をいいことに、私は普段人に言わないような言葉遣いで愚痴を吐き始めた。





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