第4章 告白とは(鬼灯/鬼灯様)
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「はぁ...、わかりました。ただし、最後に一言、さんとお話ししても?」
「はぁ?なんでだよ。」
「さん、よろしいですか?」
先程よりも、優しげに聞こえたその声に従って、カウンター下からいそいそと顔だけ出す。
そこには店の扉に手かけて、もう出て行くといわんばかりの姿が見えた。
そんな彼とばっちり、目があう。
「私は何度でも、さんが納得するまで口説きにきます。覚悟しておいてくださいね。」
まるで獲物を捕らえたかのようなその鋭い目に、思わずひっと、声を上げてしまった。
では、一言だけ言って、扉が閉まる。
彼が帰った室内は、しんと静まり返って皆唖然としている。
これから、どうなるのだろうかと青ざめる私と、ギャーギャー騒ぎ始めた白澤様、それをなだめる桃太郎さん。
いわばカオス状態に陥るこの場で、果たして私はやって行けるのだろうか。はたまたこれが嘘で、実はドッキリでしたパターンなのか。
...嗚呼、これから先が、かなり、かなり不安。
断末魔が響く桃源郷は、私にとって今日から地獄と化しました。
鬼灯様、どうか嘘だと言ってくれ。
私の願いすらも届かないのは、きっと桃源郷のどこかにいる悪戯な神様のせいだ。
見つけたらぶん殴ってやろう。
バタンと倒れる音とともに、私の意識は消えていった。
〜
(終わり)
もしかしたらシリーズとして書くかもしれません。気分次第になりますが。