第4章 告白とは(鬼灯/鬼灯様)
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開店準備が整い始めていく中、ふと店の扉が開いて、誰かが中に入ってきた。
すみません、まだ準備中です、と口を開いてその人物を見れば、黒い着物を着て悠々と立っている鬼灯様であった。
「ほ、鬼灯様?」
「準備中失礼します。」
既に中に入っているというのに、堂々とそこに立つ姿は、とても迫力があって此方も唖然とするほかなくなる。
桃太郎さんも驚いて声を上げて彼を見やる。
しかし鬼灯様はそんな桃太郎さんは目もくれず、私の方へと近づいてきて、1メートルもないくらいの距離でじっと見てくる。
その迫力に思わず一歩後ずさりをしてしまったが、それすらも許さまいと彼方も一歩近づいてきた。
当然疑問が湧いてくるし、なんせ彼の顔は怖いし、怒っているようには見えないけれど、ここまで近いと何かしてしまったのでは、と焦りが生じてくる。
しかし彼と会うのはこれで3度目辺りだし、何かしたにしても、鬼灯様自らがやってくることはそうそう無いはずだ。
忙しい彼の身としても、こんなところにいまいる事自体が、おかしい。
じいと私から目を離さずにただ立たれても、こちらとしてはだいぶ困る。
「ど、どうかされましたか?...あ、白澤様お呼びしますけど...。」
「いいえ、それは結構です。」
「そ、そうですか....、」
....とりあえず、白澤様に用が無いことはわかった。
しかしここにきた理由は分からずじまいで、こちらから聞くにも雰囲気に圧倒されて聞きづらい。
そんな私の気持ちを察したのか、桃太郎さんが助け舟を出してくれた。
「あの、鬼灯様。今日はどのようなご用件ですか?」
「....、やはり、間違いないか。」
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