第4章 告白とは(鬼灯/鬼灯様)
ー
今日も今日とて、朝から女の子の怒涛の声と、気持ちいいくらいの平手打ちの音が響き渡る。
うさぎ達に餌をやって帰る道中の私をよそに、女の子は走り去って行ってしまった。
微かに甘い匂いを香らせるその子は、一瞬見ただけでも相当の可愛い女の子で、無類の女好きの白澤様が逃すわけが無いであろうなぁ、と感心と呆れが同時にやってくる。
白澤様はというと、いつも通り扉を突き抜けて店前で転がっていた。
最初この光景を見たときは唖然としたが、こうも何回も見ると、人というものは慣れるものだ。
「白澤様、こんなところで寝転がらないでください。」
近づいて大の字で横たわる彼の横にしゃがみこみ、頭をツンツンつついてやる。
今回は何をやらかしたのだろうかと呆れつつ、今度は頭を強めに引っ叩いてやる。
そうすれば勢いよく顔を上げて、酷い扱いだ!と喚き始めた。
....神獣だの言うけれど、今のこの人が神獣だなんて高貴な存在だとは認めたくない。
というか、認めない。
「女の子を悲しませる人に言われたくありません。恋人を一人も大事にできないようじゃあ、駄目ですよ。」
「うっ...、」
「早く起き上がってください。開店時間迫ってますよ。」
「ちゃん、辛辣....。」
「はいはい。結構ですよ辛辣で。」
駄々をこねて立ち上がりそうにない彼を無理くり立たせて、まるで怪我人を運ぶように肩を貸して歩かせてやる。
こうでもしないと彼は直ぐには歩き出してくれないし、やる気が起きないと言ってその場でおもちゃが欲しい子供のように駄々をこね始めてしまう。
なんて面倒な人だろうか。
ー