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【YOI男主】裏・小話集【R18】

第1章 裏・小話集


『愛について・ego(ヒゲ×純)』


充分に馴らしたつもりだが、いざとなるとあまりの圧力と痛みに、純は呻き声を漏らした。
漸く挿入を果たした箇所が、藤枝の男根を痛いくらい締め付けてきて、藤枝は眉を顰める。
額に汗を滲ませ小刻みに全身を震わせている顔面蒼白の純を見て、思わず藤枝は身体を引きかけたが、
「…やめんといて」
「純?」
藤枝の身体の下で、両目に涙を浮かべながらガチガチと歯を鳴らし続けているものの、純は震える手をゆっくりと恋人に向ける。
「僕はビビリやから。今止めたら、きっと二度と貴方とこんな事できひんかも知れへん…」
「だが…」
「お願い。僕の事ホンマに好きなんやったら、このまま…」
己の肩に添えられた純の震える手の感触に、「辛ぇだろうが呼吸はできるだけ深く、aじゃなくてuの発音でしろ」と、小声で囁いた藤枝は、見かけよりも細い純の腰を抱え直すと、更に身体を押し進める。
刹那、無防備な悲鳴が上がり、純の爪が痛いほど藤枝の背に食い込んだが、同時に藤枝の心にも得も言われぬ痛みが走った。

再起不能レベルの怪我を負いながらも、純は競技者としての自分にけじめをつける為に、これまでずっと頑張り続けてきた。
今夜の全日本も、完璧とは行かぬものの集大成に相応しい演技で、観客だけでなくかつてのライバルでもある勝生勇利や若手スケーター達をも魅了したのである。
コーチとしては感無量だった。
それなのに、藤枝は同時に心の何処かで「今からでも引退を撤回してくれないだろうか」とも考えていた。
純さえ承諾すれば、膝の手術を受けさせて、もう一度世界の舞台を…
その時、己にすがりついて泣きじゃくる純の様子を見て、藤枝は強烈な支配欲と独占欲を覚えた。
自分以外知らないこの純は、俺だけのものだ。
誰にも渡さない。
だが。

(ああ、今俺はアスリートとしてのコイツに、とどめを刺してしまった)

愛しい人を手に入れた快感と、同じくらいの罪悪感のようなものが藤枝の中を支配した直後、純の内部を様々な激情の混ざった飛沫が迸った。
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