第3章 起首【淀み】
安定「はいはい、すいませんでした。
僕はただ喜ばせようと思って...」
と適当に受け流しつつ、瞳に残っていて滑り落ちた涙の雫をペロリと舐めとる大和守。
瞬く間に林檎のように顔を赤くし、口をぱくつかせる。
本当に面白い。
安定「初なら、この本丸を変えてくれるかもね…」
そう呟けば、初は突然大人しくなり、大和守に訪ねた
『先程から気になっていたのですが.......その...最初の審神者と言うからには、こちらの本丸には...その後も私以外に何人かいらっしゃっていた。ということですか?
...そしてその方々も.....刀剣男士の皆様を...苦しめてきたのでしょうか...
すみません、本来この様な質問...』
そう問いながら、みるみる顔を曇らせていく。
大和守は初の髪を撫でながら答えた。
安定「まぁ、ね。何奴も此奴も負けず劣らず糞ばっかだったよ。
中には俺が、私がここを変えるだのなんだのほざいてた奴もいたけど、結局そいつらも同じだった...。
でも初は違う、何でかわかんないけど、そう思わせる何かがあるんだ。だから、きっとほかの仲間たちも受け入れてくれるよ!」
しかし尚も初の表情は曇ったまま、
『そうでしょうか...私でいいんでしょうか...
私で皆様を癒せるでしょうか...』
と、不安を口にする。
安定「もーーー、さっきまでの僕に対する威勢はどこいっちゃったの!?
大丈夫、僕もついて行くから。
初といっぱいチューしたお陰で、元気いっぱいだしね!」
最後の一言でまた顔を真っ赤にし、『もう』と叱られたが、
『有難う御座います。とても心強いです。』
そう微笑まれ、何も言えなくなってしまった。