第3章 起首【淀み】
慌てて口を閉ざそうとしても時は遅く、躊躇なく舌は口内に入り込み、頬の内側、上顎、歯の裏側と、丁寧になぞっていく。
今度は胸を強めに叩いて抵抗するが、抵抗虚しく頭を左手で固定され、右手は腰に回され、身動きを取れなくなってしまった。
クチュ...ピチャッ...
どちらの物かもわからないほど唾液は混ざり合い、私の口の端から零れていく。
『ぁ.....ふっ.....ッ....』
息が続かなくなり、もう一度思い切り胸を叩けば、ようやく口は離れていった。
離れた大和守様の口と私の口を銀色の糸が引く。
大きく肩を上下させ、怒りの意を込めて大和守を睨む初だが、大和守には更にその気にさせるための行為でしかなかった。
安定「鼻で息して」
そう告れば、有無を言わさず再び口を犯される。
舌を絡められ、逃げれば舌を吸われ、もうどうすることも出来ず、なすがままになってしまう。
次第に足に力が入らなくなり、大和守様にしがみつく。
それに気を良くして、初の顎を持ち、上を向かせ更に深く口付けてゆく。
頭が真っ白になり、何も考えられなくなっていく。
そんな初めての感覚に恐怖を感じ、自然と涙があふれてくる。
安定「そんな顔されたら尚更やめられないんだけど.....」
そう言いつつも口を離し、涙を流す初を抱きしめ、頭を撫でる。
少し経って落ち着いてきた初は、
『な、なななななななにするんですか!?』
と、真っ赤になって怒り出す。
つい先程まで自分によってあんな顔をさせられていたというのに。
泣いたり怒ったり、表情がコロコロ変わって、面白いやつ。
そうくすりと笑えば、更に怒りだす目の前の少女に、大和守はすっかり魅了されていた。