第3章 起首【淀み】
長谷部「...主命とあらば.....。」
胸に手を添え深く礼をする彼の顔は、怒りによって歪んでいた。
女が完全に去ったことを確認し、大和守の元へ寄る長谷部。
長谷部「おい、大和守、大丈夫か?」
長谷部がそう問いかけるのも無理はなく、大和守の顔は腫れあがり、所々から血が流れていた。
恐らく女にやられたのだろう。
安定「ねぇ、長谷部.....清光は?.....和泉守は?大倶利伽羅や山姥切も...どうなっちゃったの?
.....この本丸は...どうなっちゃうの?...」
傷などお構い無しに長谷部に縋りつき、仲間の居場所を問いかける大和守の姿に、長谷部は一層顔を歪ませた。
長谷部「俺にも分からない...だが、この本丸の刀帳から奴らの名が消えていないから...なんとか、折れてはいないはずだ。
それに、三日月たちも動いている。
安心しろ...きっと...また、元のお優しい主に戻ってくださる...きっと...。」