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清廉の君に紅を【刀剣乱舞】

第3章 起首【淀み】


すると、靄とは違う 何か が、私の中にどっと流れ込んできた。




───目を開けると、先程とは違う光景が広がっていた。



真っ青な空、ぽかんと浮かぶ白い雲、その本丸には蝉の声がして、夏を思わせた。
小鳥の声と共に響く楽しげな笑い声。
私のまだお会いしていない刀剣男士様方の笑顔と.....女性の後ろ姿。
その場にいるだけで幸福が伝染してくる程に、そこは清福で満ちていた。

しかし場面は一転し、気づけば目の前には大粒の涙を流す大和守安定様の姿と、顔が布で隠され表情は読めないが先程いた女性と同一人物であろう方が大和守安定様のことを見下ろしていた。

安定「お願い、もういいだろっ!!?
これ以上は清光が死んじゃう!!!」

女「あはっ、面白い.....何言ってんの?
あんた達は物なの、物!!!
物はいつか壊れるものなのよ?そんなことも知らないの?あーあ、ほんっとに馬鹿。あははははっ」

心底可笑しいという風に笑うその女性の声は、先程聞いたものとは180度異なっていた。

女「だぁめ、清光は私を愛しちゃってるのぉ、
清光はぁ、私があんたに触れるの嫌なんだって。
なんでか分かる?嫉妬よ、嫉妬。まぁ、確かにそろそろ飽きてきたし
そうねぇ、堀川国広にでもしようかしら?
あいつも私に可愛がられたくて仕方ないみたいなのぉ。
この前可愛くおねだりに来ちゃって、、、兼さんや加州さんよりも僕の方がって、、、あはっ」

女は気に入りの刀剣男士を閉じ込め、朝晩関係なく自分の気分で相手をさせ。
気に入らぬものには手をあげ、無理な出陣、遠征を繰り返させ、手入れは一切しないという有様だった。



その言葉に更に怒りを爆発させる安定。

安定「.....やめろ...堀川にまで手を出すな!!
第一、和泉守はどうしたんだよ、一月前にお前の所に行ったきり、帰って来ないじゃないか!!!!
他のみんなだってそうだ。皆をどうした!!?何処へやった!!!」

女「チッ...うるせぇなぁ。長谷部ぇ?こいつ。
片付けといて。」

女は汚物を見る目で大和守を見やると、常に控えさせているへし切長谷部に声をかけ、そのまま自身は部屋を後にした。
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