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清廉の君に紅を【刀剣乱舞】

第3章 起首【淀み】


?「ほんっと、人間ってムカつく
なんなのお前、僕達に審神者なんかいらない!
何度送ってきたって同じだ!!
お前だって...お前だって.......なんで...なんなんだよ!」

感極まって瞳に溜め込んでいた涙が勢いよく溢れ出す。
そしてその身体には再び、あの靄が絡みついていく。

『いけない!!』
私はそう叫び、靄に蝕まれていく目の前の彼に飛びつき、抱きしめた。


瞬く間に靄は私の身体も蝕もうと、私を包み込んでくる。

『うっ....あ"っ.......ぁああ...くっ』

焼けるような痛みに嗚咽を漏らすが、一層靄は深く、濃い漆黒に変わり、私達を染め上げていく。

?「なっ...に、してんだ...よ。
何で、さっ...っ.....きから...わざわざ、、自分か...ら.....ッ...」

馬鹿なの?と、息を切らしても尚私への敵意は消えず、寧ろ強まるばかりだ。
それに合わせて靄も濃くなる。

このままではこの人は...いや、私も闇に飲み込まれてしまう。

今まで、故郷の神社にいた頃に、お祓いをした事はあるが、ここは決して神聖な場とは呼べず、寧ろこの場自体に、今私達を包む悪しき靄に似た類の気が満ちてしまっている。そして何より何の道具も準備もないのだ。
その様な状態でお祓い等私にできるはずがない。
というか、この場合お祓いで合っているのかすら分からないが
...ッ!?

考える間も与えずに靄はどんどん侵食してくる。



...どうか.....私の声が、この御方の耳に...届きます...よう...に...。
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