第3章 起首【淀み】
一寸先も見えない程の闇の中にいた。
チリン と小さな鈴の音が聞え、
気づくと目の前には白く、少し古びた鳥居が果てしなく連なっていた。その鳥居の両脇には川が流れている。
一歩踏み出そうとした時、くすりと笑う声が聞こえた気がした。
『!?...つっ.....』
突然の痛みで夢は途絶え、目が覚めた。
心配そうにこちらを覗き見る二つの濃藍の瞳と目が合った。と思ったら、瞳の持ち主は慌てて大きく後ろに飛び退いてしまった。
?「ごめっ....あーーー、っじゃなくて!!!!
.....な、なんだ。...生きてたの?」
あからさまに突っけんどな態度を取られ、その様が何故か可笑しく感じてしまい口元が緩んだ。
?「な、なに笑ってるんだ!!
...それに、何なんだよ...お前.......。」
頬を膨らませ少し怒りながらも私に問いかけてくるその人には、殺気も、黒い靄もなかった。
『ふふふ...失礼致しました。
私はこの度こちらで“審神者”をさせて頂くことになりました。初 と申します。』
すると、審神者という単語を耳にするやいなや、再び微かに殺気を漂わせ、腰に収められた刀に手を伸ばしてしまうその方に、慌てて言葉を続ける。