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清廉の君に紅を【刀剣乱舞】

第3章 起首【淀み】


襖が閉まると同時に私は床に放り投げられ、尻もちをついた。
明かりがほとんど入らず、室内は薄暗い。
私を部屋に引き入れた方の顔も殆ど見えないが、こんのすけ様に頂いた、刀剣男士様方の資料の記憶を思い出すに、背格好からして“打刀”に分類される方の誰かだろうか...?

先程から静かにこちらを見下ろすその方に声をかけようと口を開いた時、冷たい刃が頬を掠め、畳に突き刺さった。
それとほぼ同時に、私に馬乗りになったその方は
左手で私の前髪を掴み、濃藍に煌く瞳を血走らせ、鋭くこちらを見やった。
髪を持つ手は震え、耳のすぐ横からも刃が鳴る音が聴こえてくる、激しい歯ぎしりや暗くても分かる憤怒の表情から、殺気が伝わり、自分の死を覚悟した。

あぁ、まだ何一つできていないのに。
そう思った時だった。

?「何でお前がいるんだ、どうして...確かにあの時...」
そう言って唇を噛んだ。

なんの事だろうか...この御方に会ったのも、ここに来たのさえたった数刻前の出来事だというのに、私は何かこの方...ここの方々から恨みを買うような真似を知らぬ間にしてしまっていたのだろうか?

兎に角謝罪をと口を開くも、「黙れ」と怒鳴られ口を閉ざさざるを得なくなってしまう。

?「僕の仲間を...清光を返せ!!お前だけじゃない、お前が居なくなっても腐った奴ばかり...。
人間なんて消えてしまえばいいんだ!!
全部お前が狂わせたんだ!!!」

そう言って畳から刀を引き抜き高く掲げるその方の背には数刻前には無かった墨色の靄が渦巻いていた
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