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清廉の君に紅を【刀剣乱舞】

第3章 起首【淀み】


本丸内をそぞろ歩いてそれなりの時間が過ぎたように思うが、一向に人に会わない。
確かに何かの気配はそこにあるのに.......

この凄まじい不浄の気といい、微塵も人が暮らしているという事を感じさせない部屋達といい...一体どう言う事なのだろうか...。
些か不安を覚え、教えられた手段で政府に連絡を取ろうとした時だった。

物陰から小さな影達が私に向かって飛び出し、襲いかかってきた。
複数の衝撃と痛みを感じ私は恐怖を来たして逃げ走った。

走る衝撃で傷口が余計に開き、多量の血が腕や脚から流れ出るが、その痛みなどより恐怖心の方が勝り私は走り続けた。


どれほど走ったか、自分の体力の限界と流しすぎた血のせいで視界が少々ぼやけてきて、やっと足を止めた。
身体を見ると服の所々が破れ、肌からは痛々しく開かれた傷と、そこからこんこんと湧き出す血が見えた。
振り返れば乾いた木床の上を赤い糸の様な鮮血のすじが続いていた。

あれはなんだったのだろう、傷からみて刃物で切りつけられたであろう事は容易に想像できるが...刃物ということは.....ここに住まう刀剣男士様達だったのだうか...
痛みや恐怖、不安が同時に襲いかかってきた。

しかし、怯えて何もしないでいれば、今度は命がないかもしれない。騒ぐ恐怖心を無理やり押さえつけ今すべきことを冷静に考える。
とにかく血が床にまで下ってしまっている以上私の場所は直ぐに特定されてしまうはずだ、どこかで止血しなくてはならない。
そう思い再び足をに進めた時、突然伸びてきた手に腕を掴まれ、悲鳴をあげる間もなく部屋の中に引きずり込まれた。
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