第4章 2回目
驚いて振り返ると、そこには奴の憎らしい笑顔があった。
「あんた…!」
「来ないって言うから来てみたよ。」
がっちりと抱きしめられていて、身動きがとれない。
「離してっ」
「ここの暮らしは気に入った?」
そう言いながら奴は服の上から私の身体を無造作にまさぐる。生地の薄いネグリジェのせいか、手の温かさも伝わる。
「触らないで!」
「そんなに元の暮らしがいいの…?」
そう言って私の頬にキスをする。そして顔を向き合わせるように無理やり振り向かせ、赤い瞳で私をまっすぐと射抜く。
しばらく見つめ合う。こいつは私にあんなことをしでかしたのに、まっすぐと澄んだ様な瞳で私のことを見つめていた。抵抗がかなわないことなど最初から分かっていたが、私は諦めたように抵抗をやめた。
「確かに…ここの暮らしは何不自由ないし、元の暮らしよりずっといいかもしれない。」
「なら…」と言って、彼は私をグッと抱き寄せたので、私は無意識に彼の胸を押す。
「でもそれとこれとは話は別。貴方のためにここで何不自由なく暮らすなんてほんとに家畜みたいじゃない。」
「そんなこと言わないでよ…。」
そう言って彼は私にキスをした。顔を背けようとしても、顔を固定されていて動かせない。そんなことをしてるうちにまた舌を絡められ、その手はゆっくりと体を撫ぜる。
「んっ…」
撫でている手をなんとか止めようと奴の手首を掴むが
、逆にこちらの手を掴まれた。そして私の手で私の身体を触らせる。
「ふぅ…んっ…」
口答えしようにもキスはしつこく、息もつかせない。
だんだんと頭がボーッとしてくる。また媚薬的な効果だろうか。力が抜けてきたのを察したのか、彼は私の手を自由にして、ネグリジェの上から胸を揉み始める。ネグリジェの下にはブラジャーをつけておらず、無防備だった。
「胸、柔らかい。」
ちゅっと音を立てて唇を離すと、彼はそう言った。私はやっと帰ってきた酸素の感覚に肩を上下する。