第2章 再
「では、出席を取っていきます」
天方先生は一人一人の名前を読み上げ
出席簿と生徒の顔を統一するように
目を忙しなく動かしていた
「橘 真琴くん」
「はい」
「!!?」
夏菜は
聞き覚えのある名前が耳に入り
窓の景色を見ていた目線を
返事をしたであろう男へと変えた
そこにいた男は
自分の右斜め前の席で
写真でしか見たことはなかったが
記憶にある男の子の面影を思い出し
一致した
(こいつが橘 真琴…。
間違えない!が
飾っていた写真の中で見たことがある)
「---七瀬 遙さん…あれ?七瀬さんは今日は休みかしら」
もう1人聞き覚えのある名前が聞こえ
天方先生の方を見るとキョロキョロと
七瀬 遥という人物を探していた
(もしかして、私の前の席って……)
ふと、夏菜は橘 真琴の方に目線を向けると
困ったように眉を垂らし
はぁっとため息をついてる姿があった
夏菜はギロリと目を光らせ
誰も座っていない前の席を睨みつけた