第1章 帰
----貴澄 side----
春休み中にある部活が
今日は早めに終わった為
中学の時の友達と遊んでいた
その帰り道
見覚えのある面影が目の前を通り過ぎた
「え……。あれって…ちゃん?」
(そんなはずはない。だって彼女は引っ越した)
しかし気持ちとは裏腹に
自分の口から出た名前に身体が反応して
追っかけていた
途中から走り始めた彼女の様子がおかしくて
追いかけるスピードを上げた
海に着いた途端
いきなり彼女は飛び込み
海に潜って行った
その風景が
初めて彼女を見たときとかぶった
(やっぱりちゃんだ!
人魚みたい…。すごく綺麗)
しばらく見とれていたが
上がって来る気配がない
心配になり海に近づくと
彼女は水面に顔を出した
このままにしておいたら
泡になって消えてしまうんではないか
そんな気がして
彼女に近づきながら声をかけた