第1章 帰
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メドレーリレーのメンバーが
まこちゃん、渚くん、凛ちゃん、ハルちゃんで決まり
4人で練習することが増えた
みんなでの練習が終わった後も
4人で残って自主練をしたり
引き継ぎの練習をしたり
私はただそれを見ていた
最初はただ見ているだけでも楽しかった
でも今は『私もまざりたい』『私もやりたい』
『私も…』『私も……』
そんな感情を表に出したくなくて
飲みたいものがあるわけでもないのに
自動販売機に行ったり
用事があるわけでもないのに
笹部コーチと話しに行ったりしていた
先に帰ることはない
家に帰ってもお父さんも仕事のため
1人になることが多い
そのことをハルちゃんとまこちゃんの両親が
心配してくれていて
3人で一緒に帰ることになってる
つい最近までは
何をするにもどこに行くにも
【3人で】だった
そうだったのに…
自動販売機の隣にあるベンチで
そんなことを考えていたら
パタパタと走る音が聞こえた
『!いた!』
顔を上げると凛ちゃんがいた
『お前がいつまでも戻ってこないから心配したんだからな。
ほら、行くぞ 』
そういうと凛ちゃんが私の手を取って
プールに向かって歩きはじめた
『1人でいてもつまらないよな。ごめん、気が付いてやらなくて』
歩いてる途中ボソッと凛ちゃんが言った
プールに戻ると
ハルちゃんが走ってきて
いきなり私の手と凛ちゃんの手と離した
『手を繋いで来る必要はなかった』
ハルちゃんは真剣な顔で
凛ちゃんと私にそう言った
反応に困ってまこちゃんを見ると
『ハルちゃん…気持ちはわかるけど…。
ちゃん、帰ってこなくて心配したよ
どこに行ってたの?』
『ごめん…自動販売機『の隣のベンチ』凛ちゃん!』
自動販売機で飲み物悩んでたって言おうとしたら
凛ちゃんに遮られた。
(まこちゃんが悲しそうな顔になってくるから
あまり言いたくなかったのに…)
『僕、メドレーリレーやめようかな。 』