出水と太刀川さんと風間さんに挟まれる話。【ワートリ】
第2章 第2話
「ちぇ…」
しばらく風間さんに粘ってみようと後ろから見ていると、風間さんの前に女が現れた。
「風間様、隊服のお届けに参りました」
焦げ茶色のショートカットの女だった。
顔が小さく、肌も白く、細身の、いわゆる美少女だった。
ハーフか?
俺より下か同じくらいだろうか。
中学生に見えるな。
ボーダーに勤める女性は少ないからだいたい顔は覚えてるんだがこの顔は初めて見た。
新入りか?
こんな顔してたら記憶してるはずだし。
「ああ、助かる」
風間さんとは顔見知りのようだ。
「サイズもチェック済みですが何かあればご連絡ください」
「了解だ。…そういえばお前、昼はどうするつもりだ?」
彼女は用が済んだと思ったのかくるりと翻して顔だけこちらに向けた。
「いつも通り、ですけど…」
「そうか。じゃあ昼になったら本部のホールに来い」
「え、あ、はい」
今度は風間さんが翻し、こちらをジロリと見て歩いて行った。
…なんだよ?
彼女はぱちくりしながら風間さんを目で追っていた。
そのうち俺の視線に気づいたのかこちらを見ると、焦ったように目を泳がしてから逃げて行った。
…なんだよ?