出水と太刀川さんと風間さんに挟まれる話。【ワートリ】
第7章 第7話
「風間さんは私がどこにいるとかわからないと心配するけど、どこにいるか伝えてれば無駄に連絡したりはしないよ」
…どこにいるかわからないと心配って完全に親じゃん。
「ところで、太刀川さんからはなんて連絡来てた?」
「ああ、最初は家にいる?とか家に行っていい?とかきてて、今実家で三門市にいないって伝えたら残念がってた。それからは来てないよ」
「そうか…」
とりあえず、太刀川さんは問題なさそうだな。
問題は風間さんだ。
連絡してれば心配はしないらしいが、思っていたより過保護だ。
風間さんから俺に監視なんかつけられたりしたら一巻の終わりだ。
それだけは避けないと。
「…じゃあ、一緒に帰ろうか」
日向がサラリと口にした一言。
「…は?」
俺はその一言に固まってしまった。
「…いやいやいや無理だろ。いくら任務時間が終わったからって俺と日向が一緒にいるのを誰かに見られたらまずいし…」
「そ、そうだよね。ごめん」
日向は目を泳がせてからうつむき、小さな声で「…じゃあね」と言いながら教室を後にした。
俺は一人、教室に残され、そのまま膝をついた。
「…不意打ちすぎるだろ……」
突然「一緒に帰ろう」なんて、そんな、言葉。
帰れない理由はあくまで頭でわかっていることであって、決して俺の意思ではない。
むしろ一緒に帰れるなら帰りたかった。
なのにそれを、日向方から言ってくるなんて。
無駄な期待をしてしまう。
やっぱり日向は
「………確信犯だ」
監視任務2日目にしてすでに2人にバレたこの任務。
すでにその3人目が姿を現そうとしていたことに、俺は気づく由もなかった。